果てない巻物|『化物尽絵巻』変奏
¥38,000
■創作理念
私たちは昔から、「巻物」というかたちに強く惹かれてきました。少しずつ広げながら鑑賞するその所作には、ほかの作品にはない不思議な魅力があります。
一方で、巻物という文化や産業が少しずつ衰退していることもまた事実です。その背景には、時代や市場、担い手の減少など、さまざまな理由があります。しかし私たちは、巻物が再び人々を惹きつけるためには、新しい題材や表現を取り入れ、その視覚言語を更新していくことが欠かせないと考えています。
そこで私たちは、博物学の世界(鉱物や藻類)、日本の妖怪伝承、明治時代のおもちゃ図譜など、自分たちが心から魅力を感じるテーマを巻物という形式へ移しました。また、伝統的な意匠を大切にしながらも、現代の暮らしに自然と溶け込む、若々しく洗練されたデザインを目指しています。さらに、日常的に収納しやすいよう、地杆もあえてコンパクトなサイズに設計しました。
試作の段階では、何度も失敗と試行錯誤を繰り返しました。地杆の寸法、裂地や紐の選定、銅頭と地杆の収まりや強度、画芯の貼り合わせ、さらには画面構成やレイアウトの再編集まで――その苦労は、実際に手を動かした者にしか分からないものだったと思います。
こうしてようやく、「果てない巻物」の最初の作品が完成しました。決して完璧ではありません。しかし、私たちが思い描いていた美しさは、確かにそこにあります。
この巻物が、あなたの日々の暮らしの中で、静かなひとときをともにする存在になれば幸いです。お茶を片手に、ゆっくりと巻物を広げ、眺め、味わい、そして長く大切にしていただけたら、これ以上の喜びはありません。
■作品紹介
『化物尽絵巻』(18-19世紀)は、江戸時代に描かれた作者不詳の絵巻物です。巻中には、日本の民間伝承に伝わるさまざまな妖怪たちが生き生きと描かれています——轆轤首、雪女、髪切り、双頭の怪物……それぞれが異様な姿で現れ、その筆致は怪しくもどこか愛嬌を帯びています。
「化物」とは文字どおり「変化するもの」を意味し、人知の及ばぬ場所——村はずれ、山の峠、田と田のあいだを流れる川のよどみ——に潜む存在とされてきました。彼らはとりわけ、見慣れた風景がふと異界めいて見えはじめる黄昏どきに姿を現すといいます。
この絵巻は、単に恐怖を描くためのものではなく、江戸の人々の豊かな想像力と庶民的な遊び心が息づく、不思議な妖怪図鑑のような魅力を今に伝えています。
原作をもとに、私たちは二十体の妖怪を選び出し、それぞれに東洋・西洋の古典楽器を添えました。すると絵巻の世界はぐっと諧謔味を帯び、妖怪たちの恐ろしさはどこへやら——気づけば、不器用でどこか愛らしい、無邪気な演奏会がはじまっています。
■商品の詳細
半手作業による三層表装を採用。画芯にはハーネミューレ製100gファインアート紙(アートジークレー印刷)を使用し、裂地による表装を施しています。裏面は全面布貼り仕上げです。地杆の両端には、槌目加工を施した純銅製の銅頭を使用し、一点ずつ手作業で表面を仕上げています。
■サイズ
画芯長さ:約1600mm
展開時全長:約1960mm
全幅(軸先含む):約125mm
本体幅(軸先除く):約100mm
作品のサイズは手作業で測定しているため、多少の誤差があります。
■巻物のお手入れとご使用上の注意
巻物は巻いて保管してください。折りたたまないでください。折り目が付くと元に戻すことはできません。
地杆の銅頭には防錆コーティングを施しているため、適切に保管していただければ、長期間にわたり緑青が生じにくくなっています。
水に濡らさないでください。ほこりが付着した場合は、乾いた柔らかい布で軽く拭き取ってください。
展示・保管の際は、温度と湿度が比較的安定した環境を保ってください。急激な温度・湿度の変化は、巻物の波打ちや反りの原因となることがあります。そのため、エアコンの吹き出し口や暖房器具の近く、また湿度の高い場所には長期間放置しないでください。
天候などによる一時的な温度・湿度の変化で、巻物にしわや波打ちが生じることがあります。その場合は特別な処置は不要です。温度・湿度が安定すると、自然に元の状態へ戻ります。























