clooouds Ed.

2026/04/21 11:14


ヴィクトル・ユゴーと聞けば、多くの人はまず文学者としての彼を思い浮かべるだろう。しかし彼は画家でもあった。彼の絵画はドラマチックな緊張感に満ち、象徴主義やシュルレアリスム的な含意を帯び、さらには抽象表現を思わせる作品も見られる。1850年に描かれた『キノコ』(Mushroom)は、彼の特異な視覚世界をよく示している。 



画面中央には巨大なキノコがそびえ、遠景には荒涼とした町並みや山並みが小さく配されている。キノコの柄には、幽霊のような人の顔がぼんやりと浮かび上がる。この絵がもたらす異様な感覚は、常識的なスケールの転倒によるところが大きい。現実におけるキノコの大きさを思えば、この反転は作品に強烈な非現実感を与えている。

この作品に関して、美術史家たちが把握している資料は極めて少ない。ここで、私個人の大胆な推測を述べてみたい。ユゴーが描いたこのキノコの外観から察するに、それはベニテングタケ(Amanita muscaria)である可能性が高い。このキノコは、白いひだ(菌褶)と白い斑点、そして通常は赤いカサを持つのが特徴だ。ベニテングタケは古くから幻覚剤として利用されてきた歴史があり、シベリアの先住民は宗教的な儀式においてこれを摂取していたとされる。 


もしそうであるならば、ユゴーが何らかのかたちでこのキノコを摂取し、その影響を受けた可能性も考えられる。ベニテングタケの摂取によって、視覚や聴覚に歪みが生じることはよく知られている。そう考えると、画面を占拠するこの巨大なキノコは、ユゴーが幻覚の中で捉えたイメージであったのかもしれない。